著者の栗田宏一さんは土の美しさと色の多様性に魅せられ、日本全国の土を採取してまわられています。そのコレクションは一万種を超えるそうです。
この本には、見開きの右ページに採取した場所の写真、左ページに取れた土を乾かし、ふるいにかけて作った標本が、短い文章とともに載せてあります。
最初に紹介してあるのは、山口県美東町で採取された、植木鉢を思わせる色の土です。雨上がりのひび割れた地面は随分固そうにみえます。
次のページは、茨城県大洗町の畑。こげ茶色のほくほくした土からは、そこで育つ立派な野菜が想像できます。
北海道当別町の土は、粉雪のような白色。雪解け水につかっていた灰色の土を乾かすと、まっ白に生まれかわったそうです。
他にも蘇芳色、青味がかった灰色、うす紅色など、身近な土にこれほどたくさんの色があることに驚かされます。
写真を見ながら、それぞれの土に育まれた地域の姿に思いをめぐらせてみるのも楽しいですよ。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
福音館書店
栗田 宏一