タイトルを見て、ライト兄弟にはじまる飛行機の歴史について書かれた本だと思う人も多いでしょうが、この本では、さかのぼること約四千年。古代ヒッタイトの遺跡から発掘された翼ある神々の彫刻に、その源がおかれています。
鳥の翼をつけて牢から脱出した中国の皇帝のお話、ギリシア神話のイカロスなど、大昔から人間は飛ぶことに憧れを抱きつづけてきました。
その思いを、設計図という具体的な形にしたのがレオナルド・ダ・ヴィンチで、十六世紀のことでした。
その後、熱気球、飛行船…と技術が進歩し、一九〇三年にようやくライト兄弟の作った飛行機が空を飛びます。滞空時間五十九秒、滑空距離はわずか二六〇メートルでした。
それから約百年の間に目覚ましく発展し、現在に至っているのです。
乗物絵本の第一人者が十年がかりでまとめた大作。飛行機だけでなく、私たちの身近にある道具はすべて「こんなものがあったらなあ」という思いが具体化していったものなのだ、ということを伝えてくれる本です。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
福音館書店
作:山本忠敬