1950年代までは「亡国病」と恐れられた結核は、適切な診断や治療、予防法などの確立により、「薬を飲めば治る病気」になった。国内における、2021年1年間の結核り患率(人口10万人当たりの患者数)は9.2人で、調査開始以来初めて10人を切った。その結果、日本はWHO(世界保健機関)が定める「結核低まん延国」になったが、「新型コロナウイルス感染症による受診控えなどの影響があるのでは」という見方もある。また、2021年の新登録結核患者数は全国で1万1519人だったが、その6割が70歳以上。患者の高齢化が進んでいる。3月24日は世界結核デー。今一度結核について考える機会にしよう。
どんな病気?
結核とは、結核菌によって、主に肺に炎症が起こる病気だ。くしゃみや咳の飛沫から菌が飛び散り、それを吸い込むことで感染する(飛沫感染)。初期症状は風邪に似ており、気づかないうちに進行してしまうことがある。糖尿病患者や喫煙習慣がある人、免疫力の弱い人は、発病のリスクが高くなる。
日本と世界の結核
世界中でみると、1年間に約1000万人が新たに結核を発症し、150万人が亡くなっている。特に、東南アジアやアフリカ地域の途上国では対策の遅れから、今でも結核が蔓延している。世界の死亡原因のトップ10に入る病気でもあり、多くの人が結核により命を落としている。
そして、ここ数年は、新型コロナウイルス感染症のため減少傾向だったが、外国生まれの日本在住者の患者数も増加している。留学や就職のため、結核罹患率の高いアジアの途上国から多くの若年層が入国した。その結果、20代の患者の7割を外国生まれの日本在住者が占めている。
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早期の正しい診断と治療が、重症化や集団感染を防ぐことにつながる。タンのからむ咳や微熱、体のだるさといった症状が2週間以上続く場合、下記に掲載の 医療機関などを受診しよう。
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