幕末維新期の長州藩と山口地域の歴史について学べるミュージアム「十朋亭維新館」(山口市下竪小路)が、2018年9月の開館から5周年を迎えた。
十朋亭は、この地で代々しょうゆの醸造業を営んできた萬代家の離れのことを指す。幕末期に長州藩の藩庁が萩から山口へ移された際、十朋亭は藩の役人たちの宿泊所となった。さらに、当主・萬代利兵衛が維新の志士たちの活動を支援していたことから、桂小五郎、高杉晋作、久坂玄瑞、周布政之助など多くの来客があったと伝えられている。
2014年、十朋亭とともに萬代家の母屋・蔵と竪小路沿いの家屋・敷地が、萬代家から山口市に寄贈。その地に本館は新築、その他の施設には維持補修を施す形で、十朋亭維新館は整備された。
「木戸孝允生誕190年」展
現在、5周年記念展「木戸孝允生誕190年~大道行くべし・桂小五郎から木戸孝允へ」が開催されている。木戸孝允を取り上げたのは、十朋亭と縁のあることに加え、ちょうど生誕190年が5周年と重なったことなどが理由だ。幕末維新の"桂小五郎"から、明治初期を代表する政治家"木戸孝允"へと成長していく、幕末期における書状などの資料27点が展示されている。10月30日(月)までの前期と、11月1日(水)からの後期では、9点の展示替えがある。会期は、12月25日(月)まで。
11月12日(日)、同25日(土)、12月10日(日)のそれぞれ午後1時半からは、同館学芸員が展示や資料について解説する「ギャラリートーク」(無料)もある。
カードラリー
5周年記念イベントとして、「十朋亭維新館カードラリー」も開催されている。同館開館5周年記念の維新の志士を紹介する特製コレクションカードが、山口市内の歴史文化施設7カ所で配布されている。施設名・カード内容は次の通り。
- 十朋亭維新館(展示室観覧)・木戸孝允
- 山口市菜香亭(大広間観覧)・井上馨
- 山口市歴史民俗資料館(展示室観覧)・伊藤博文
- 狐の足あと(足湯orカフェ利用)・周布政之助
- 鋳銭司郷土館(入館)・大村益次郎
- 小郡文化資料館(入館)・高杉晋作
- 大路ロビー(入館)・久坂玄瑞
カードは全部で10種類ある。特別カード3種類は、「5周年イベント参加」「井上馨&伊藤博文カードを維新館で提示」「通常7種+特別2種を維新館で提示」することでもらえる。現在参加可能な5周年イベントは、紙芝居、ギャラリートーク、館内バックヤードツアーだ。すでに約60人が全種類集めたという。
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「季節も良いので、十朋亭やその周辺を見て歩き、木戸をはじめ維新の志士たちの息づかいを感じてもらえたら」と、立石智章学芸員。問い合わせは同館(TEL083-902-1688)へ。