山口県における「がん検診受診率」の低迷が続いている。国が3年おきに公表する「国民生活基礎調査」によると、2022年の山口県内におけるがん検診受診率は、全国平均を上回るものが一つもなく、胃がん(女性)、子宮頸がん、乳がん検診は全国最下位という結果だった。昨年山口県は、2024年度から12年間にわたる県民の健康作りに関する基本計画の素案をまとめた。その中には、がん検診の受診率の引き上げなど、47項目の目標も設定されている。「最近検診を受けていない」という人は、今年は自分の体や健康と向き合うためにも受診してみよう。
がんを巡る現状
がんは、1981年(昭和56年)以降、41年連続で国内の死因の第1位となっている。死亡総数の約25%を占めており、「生涯のうちに2人に1人がり患する」と推計されてもいる。
2019年(令和元年)のデータ(グラフ1)から、全国のり患数を性別・部位別にみると、男性は「前立腺」が最多で、「大腸」「胃」「肺」と続く。女性は「乳房」が最多で、「大腸」「肺」「胃」の順だ。
一方山口県では、男性はやはり「前立腺」が最多。その後、「胃」「肺」「大腸」と続く。女性は全国と同じ順となっている。
低い検診受診率
厚生労働省は、五つのがん(胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん)について、定期的な検診の受診を推奨している。これらのがんは、り患率や死亡率が高い一方で、検診による早期発見や早期治療を行うことで、死亡率を下げる効果があると確認されているためだ。
しかし、山口県内における検診受診率は近年伸び悩み、全国平均を大きく下回っている(グラフ2)。
特に深刻なのが、女性の受診率だ。2022年の統計を見ると、全体の検診受診率も男性より下回っている。さらに、「乳がん」「子宮頸がん」「胃がん」の3種は、都道府県別で全国最下位。乳がんの受診率は2016年か下降を続けており、前回の2019年よりも0.6ポイントマイナス。全国平均と12.6ポイントの差があった。
県内の平均寿命は、男女とも全国平均を下回っている。がんによる早期死亡を減らすためにも、県は積極的な受診を呼びかけている。
「健康だから」検診を受けよう
コロナ禍での健診・検診の受診控えもあり、2020年のがん検診受診数は大幅に減少した。しかし、厚生労働省はコロナ禍でも検診は「必要な外出」として呼びかけを行い、2023年3月には「がん検診の受診率の目標をこれまでの50%から60%に引き上げる」などを盛り込んだ「がん対策推進基本計画(第4期)」を閣議決定した。
検診技術の向上や医学の進歩により、がんは「治せる病気」になった。そのために必要なのが「早期発見」であり、手段の一つが「がん検診」だ。
「今はどこも悪くないから」という健康な人こそ、検診を受けよう。自治体によっては検診費用の補助があったり、検診対象となる年齢の年度にはハガキが送付されたりしている。自分や大切な人の健康を守るため、検診・健診を積極的に受け、健やかな1年を送ろう。