このほど、大内氏25代・義弘を題材とする講談「大内義弘伝~命の炎を燃やした男」が完成。3月19日(火)に山口商工会議所でお披露目された。
これは、「シビックプライド醸成に繋がる歴史文化遺産活用推進協議会」(渡辺純忠会長)が、「年代を問わず大内氏に興味を持ってほしい」と、2024年度事業として企画。同協議会のメンバーでもある講談師の神田京子さんが創作した。
「武将」としての大内氏をストーリーで伝えようと、義弘を取り上げた。幼名・孫太郎時代の活躍から親子の確執、将軍・足利義満による寵愛から対立に至るまで、明徳の乱や応永の乱の様子も交えて、約45分間にわたって話した。時に笑いも交えた迫力ある語り口に、参加者からは「本を読むのとは違って、大内義弘のことがスッと頭に入ってきた」などの感想が聞かれた。
「将軍に気に入られ、やがて捨てられる身となる大内義弘の『義』の部分を表現したかった」と神田さん。山口市内の大内氏関連の史跡を巡ったり、古川薫の「大内義弘~炎の塔」「大内義隆~失楽園の武者」や平瀬直樹の評伝「大内義弘~天命を奉り暴乱を討つ」を読んだりしてイメージや人物像を膨らませていった。さらに、山口市発行「西国一の御屋形様 大内氏がわかる本」3部作も資料として活用し、史実に即しながら講談としてデフォルメできる部分やドラマチックに描ける部分をあぶりだしたという。2020年に東京から山口市内に移住してきたことを振り返り「日々大内氏と同じ風景を見ているので完成できた。東京に住んでいたらできなかったと思う」とも。
今後さらにブラッシュアップされ、同市内の小学校等で、年数回披露される。神田さんの講談会の演目にもなる予定だ。
協議会は2021年に発足 「シビックプライドを醸成しよう」
「シビックプライド醸成に繋がる歴史文化遺産活用推進協議会」は、「大内氏から毛利氏の統治下まで、長い年月の間に山口市に息づいた歴史文化遺産を、市民一人一人が誇りに思い、磨き上げていこうと思う気持ち(シビックプライド)を醸成しよう」と発足。歴史や観光等に関係する同市内の団体・個人によって2021年12月に立ち上げられた。これまでに、記者会見等で使用する「バックパネル」や、イベント時の統一キャッチコピー「おいでませ西の京山口へ」を制作した。また、「秋穂八十八ヶ所巡り」と愛媛県の大洲市・道後温泉も視察。さらに2月には山口市に対し、「ふるさと納税制度を活用した文化財保護の推進」を提案した。
19日の講談お披露目後には、同協議会の6回目となる会議も開催。2024年度の事業報告・収支決算および2025年度事業計画・収支予算が承認された。
2025年度は継続事業に加え、「風水」を活用した観光誘客への取り組みを研究したり、文化財保護の先進事例を学ぶため京都市での研修を予定している。総予算は100万円。