特別展「奈良大和路のみほとけ-令和古寺巡礼」が、山口県立美術館で始まった。会期は6月9日(日)まで。
1400年の昔から数多くの寺院が建立された「奈良大和路」には、数多くの"みほとけ"が伝えられている。そして、ほのぼのとした風情を漂わせる景色と古寺を抱くこの地は、會津八一、和辻哲郎、亀井勝一郎、志賀直哉など、日本を代表する文士を引きつけ、彼らは巡礼するかのごとく訪れた。この展覧会では、文士たちの言葉も引用しながら、仏像を中心とした奈良大和路の魅力を伝えている。さながら「小さな巡礼地」の様で、さまざまな表情の"みほとけ"と対面することができる。
まず「斑鳩・矢田エリア」からは、法隆寺の国宝・観音菩薩(ぼさつ)立像や、霊山寺の国指定重要文化財・十一面観音菩薩立像が展示。前者は、「この像に祈ると悪夢が吉夢に変わる」という伝承から「夢違(ゆめちがい)観音」の愛称で知られている。
「西ノ京・佐保・佐紀エリア」からは、薬師寺の国指定重要文化財・弥勒菩薩坐像(ざぞう)、同じく国指定重要文化財・十一面観音菩薩立像、唐招提寺(とうしょうだいじ)の国指定重要文化財・如来形立像[トルソー=胴体だけの彫像]、大安寺の国指定重要文化財・伝馬頭観音菩薩立像(5月12日までの展示)や、西大寺、法華寺に伝わる品が展示。大安寺の馬頭観音菩薩立像は、通常は公開されず嘶堂(いななきどう)に安置されている「天平(てんぴょう)の秘仏」だ。
「奈良公園周辺・春日・柳生エリア」からは、東大寺の国宝・弥勒仏坐像(4月29日から5月12日までの展示)、興福寺(伝来)の国指定重要文化財・持国天立像や、新薬師寺、法徳寺、南明寺に伝わる品が紹介。東大寺の弥勒仏坐像は、同寺の大仏製作のために試作されたという伝承から「試みの大仏」の通称で親しまれている。
また、「山の辺・飛鳥・當麻エリア」からは、長谷寺、岡寺、當麻寺に伝わる品が展示されている。
仏像以外では、絵画や工芸品などが紹介。さらに、奈良市出身で「大和路」を撮り続けた写真家・入江泰吉(1905-1992)による、1960年代から80年代にかけて撮影された20枚の写真も並ぶ。
開館時間は午前9時から午後5時まで(入場は4時半まで)。観覧料は一般1700円、学生とシニア(70歳以上)は1500円。毎週月曜は休館だが、4月29日・5月6日・6月3日は開館する。
地図表示はこちら→https://platinumaps.jp/d/yamaguchi-map?s=303924
関連イベント
会期中、各種関連イベントも開かれる。
薬師寺の大谷徹奘執事長によるスペシャルトーク「雪舟にあこがれた画僧・古磵と薬師寺」は、4月27日(土)午後2時から3時半まで。本展出品作品「薬師寺縁起絵巻」の作者・明誉(みょうよ)古磵(こかん)は、雪舟の絵にも学んだと言われている。古磵の研究者としても知られる大谷執事長が、山口と薬師寺とをつなぐ話をする。聴講希望者は、ウェブサイト(https://y-pam.jp/special/mihotoke/)の応募フォームなどから申し込む。
記念講演会「仏教美術の黎明期-〈奈良美術〉誕生物語」は、5月12日(日)午後2時から3時半まで。「奈良美術成立史論」(中央公論美術出版)をはじめ、奈良の諸寺院と寺宝について多数の著作で知られる大橋一章早稲田大名誉教授が話す。当日先着順。
本展の監修者で元奈良国立博物館の研究員でもある関根俊一帝塚山大学客員教授と美祢市出身で奈良市観光大使を務める倉橋みどりさんによる記念対談「奈良大和路の古寺をたずねて」は、5月19日(日)午後2時から3時半まで。奈良を散策する際に知っておくと楽しいトリビアなども教えてもらえる。当日先着順。
どのイベントも聴講は無料。会場は山口県立山口図書館レクチャールーム(山口市後河原)で、定員は150人だ。問い合わせは県立美術館(TEL083-925-7788)へ。
また、大谷徹奘さんによる講演会が、4月27日午後6時から山口市菜香亭でも開かれる。演題は「心のしくみと幸せの法則」で、昼とは全く違ったテーマの話を聞くことができる。聴講は無料で、定員は先着50人。申し込み・問い合わせは菜香亭(TEL083-934-3312)へ。
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