子どもたちが心待ちにしているクリスマスを、サンタクロースはどんなふうに過ごしているのでしょう。
クリスマスイヴの朝、この本のサンタが目覚めると同時につぶやいた言葉は「やれやれ、また クリスマスか!」
そうです。今日はサンタにとって一年で一番忙しい日。寒い、眠たいなど言ってはいられません。身支度を整え、朝ごはんをたっぷり食べ、そりにプレゼントをのせ、いざ出発。雪が降ろうが霧にかこまれようが走り続け、ひと晩中プレゼントを配って回らなければなりません。
明け方、牛乳屋さんが配達をはじめる頃にようやく終了。最後のお届け先は女王陛下の宮殿。
家に帰っておふろにつかり、ひとりでゆっくりクリスマスディナー。飼い犬たちにプレゼントを渡して仕事は完了。最後に読者に向かって一言。「ま、おまえさんも たのしいクリスマスをむかえるこったね」
英国らしいひねりをきかせたユーモアを含んだ作品。コマ割りで描かれているのでサンタの細かい仕草まで楽しめます。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
福音館書店
作・絵:レイモンド・ブリッグズ
訳:すがはら ひろくに