下瀬信雄展は7月7日に終了した。次は7月23日から始まる「香月泰男のシベリア・シリーズ」展。同シリーズ全57点を8年ぶりに展示する。
ところで、梅雨の中休みとなった日の午後、久しぶりに美術館の中庭に出てみた。
遊歩道を歩きながら作品を眺める。石が並んだように見える杉浦康益の陶芸作品、ビール瓶を波間に浮かべた田辺武の石彫作品、内部を覗きたくなるような田中米吉の金属製の作品が続く。ダン・グレアムのガラスと木材でできた三角柱構造物(扉を開けて中に入ることができる)が歩み寄る人の姿を映し出す。ステンレスの台に細長い金属の棒を密集させた川口政宏の作品の後ろを回って、最後に、大きな四つの石を並べた菅木志雄の作品の前に来る。
隣の森のセミの声が大きな波のように聞こえる。生い茂った夏草の間にはネジバナが咲いていた。いずれ刈られてしまうけれど、彫刻が点在する野原に入り込んだようで楽しかった。
山口県立美術館学芸参与 斎藤 郁夫