早朝ベッドの上で目を覚ます。まだ外は暗い。室温十度。目を開けたり閉じたりする。両手を挙げて身体を伸ばす。風邪でもないのに起きたくない。なんか身体がだるい。
私がいなくても誰も困らない。私が消えていても、しばらくは誰も気づかない。世の中なんにも変わらない。
起きて、顔を洗って、トーストを食べて、簡単に掃除して、ちょっと腰なんぞ痛くなって、コーヒー飲んで休憩して、ギシギシ自転車漕いでじゃが芋や大根買いにスーパーへ…ちっとも楽しくない。同じような毎日。
女性の平均寿命まで十数年ある。大病になったらどうしよう。老化が酷くなったらどうしよう。貯金もないし…不安を先取りしておびえて暮らす根性なし。
今日は起きたくない。起きたって昨日と同じ今日が始まるだけ。ああ、つまんないなあ。
カーテンを少し開けてみる。紅梅は満開。日当たりのよい枝の花はもう散り始めている。白や赤、ピンクの椿が静かに咲いている。椿は本当に凛々しい。どうしてそんなに嬉しそうに咲いているの?
本でも読もうかな。こんな日は暗いテーマの本がいい。一緒に奈落に落ち、地の底にもぐり私を抱いて一緒にさ迷ってくれる本がいい。
今日は下り坂。明日は?