NHKラジオの“深夜便”をご存知ですか? 夜十一時から朝五時までの番組で興味ある構成で放送されています。私はたいてい夜九時頃にはうつらうつらしています。十時には完全に寝入っています。それで午前三時頃には眼が覚めるのです。ラジオをつけてぼんやりと深夜便を聞き始めます。その時間は懐かしい歌などがよく流れています。四時には完全に目覚めます。
深夜便は熟年、高齢者層の聴衆者が多い番組で、中でも午前四時は聴衆率が一番高い時間帯なのだそうです。これを聴いてから寝ようという人達と、これを聴いてから起きようという人達がぶつかる時刻。「潮入り」の時だそうだ。私はこれを聞いたら起きよう、というグループです。
午前四時から「明日への言葉」に耳を澄ませる。様々な人がインタビューを受け人生を語るのです。作家、農業一筋、伝統芸能継承者、旅館業等々、約一時間。聞きながら泣いている時もあります。あまりの勇敢な決断に喝采を送る。ご苦労なさったのだと頭を垂れることも多々あります。皆さん、真摯でめげずに生きる人達ばかりです。私も今日一日勇気を持って溌剌と生きよう、とエイッと起き上がります。サッとカーテンを開け背伸びをします。
本州の西の端に住む深夜便愛聴者の一日が始まります。