今年の豊作を祈願する御田植祭が6月2日、古熊神社(真庭宗雄宮司)の神田(山口市惣太夫町)で執り行われた。崇敬会や地域住民らによる早乙女12人と田男5人が、イセヒカリを植え付けた。
「奇跡のお米」とも呼ばれるイセヒカリが発見されたのは、1989年。台風によってなぎ倒された伊勢神宮(三重県)の神田の中に、2株だけ直立していた稲があった。当初、コシヒカリの突然変異種と考えられ、山口県の専門家、篤農家によって試験栽培が実施。その後、「食味はコシヒカリに優るとも劣らず、病害虫にも強い」ことが判明し、1996年に伊勢神宮が「イセヒカリ」と命名。2002年に原種が特定されるなど、県と縁が深い品種だ。同神社では、2013年から毎年植え付けており、今年で7回目を迎えた。
神事の後、緋袴に手ぬぐい、笠、青い手甲に茜たすきを身につけた早乙女たちが横一列に並んで水が張られた田に入り、合図に合わせて苗を一つ一つ、手で植えていった。
秋に収穫されるコメは、11月の山口天神祭に供えられるとともに、伊勢神宮にも奉納される予定。