日本に古くから伝わる行事には様々なものがあるが、「亥の子」もその一つだ。須川後地区では、今も伝統が守り伝えられている。
「亥の子」は、亥の月(旧暦10月)亥の日またはその頃に行われる行事で、主に西日本に伝わる。秋の収穫への感謝、子孫繁栄、無病息災、防火を祈るなどの意味があり、佐山須川後地区では子どもたちによって今も受け継がれている。
当日、子どもたちは当屋の家に集まり、菊の祭壇(菊飾り)を作る。日が暮れた頃、稲わらをきつく巻いて棒状にした「ぼた」を持ち、集落の各家を回る。玄関先で「亥の子めでたいのう 今夜は亥の子 餅ついて つかんというて 食わせん者は 鬼を産め 蛇を産め 角の生えた子を産め」と厄除けの歌を歌いながら地面をたたき、家の者からそのお礼として菓子や現金などをもらう。当屋に戻って金品を分け合い、翌朝、菊飾りを川に流して終了する。