皆さん、『マムシグサ』ってご存じですか? 私は全く知りませんでした。花には詳しくありませんし、野山を歩くのは得意じゃありませんから。なのに、先日友人に連れられてちょっとした丘を散歩しました。友人の「マムシグサが咲いているのよ」という言葉に惹かれたのです。「本物のマムシもいるんじゃないの?」と聞き返したら「マムシはまだ出ない。まだ寒い」。
うーん? 真正面にヘビが立ち上がって、鎌首もたげた姿にそっくりの薄い茶色と草色の縞の花がある。鎌首と思ったのは、仏炎苞。(棒状の花を包み込む苞を仏像の背景にある炎形の飾りに見立てたもの)。茎も褐色と草色の斑で、図鑑で見ると、マムシの銭型模様の身体とそっくり。大きさも昔見慣れたヘビと同じ。これなら攻撃態勢のマムシと見間違う。名前をつけた人はすごい観察眼だ。ちなみに、この丘には、夏になると『マムシ注意』という看板が立つ。
丘には柔らかい木漏れ日が射していた。芽を出したばかりのマムシグサ(一人前に茎は銭型模様をしている)や成長途上の仏炎苞を垂直に立てたもの、成熟して仏炎苞を前に曲げ果を育てているもの。秋には赤く熟したきれいな集合果がつく。しかし、ご用心。これはマムシグサという恐ろしい名前を持つ花、実には毒がある。触ってはいけない。