有馬喜惣太(1708~69)は、江戸時代の防長を代表する絵図製作者です。阿武郡生雲村三谷出身。幼いころから絵が得意で、萩藩御用絵師雲谷等達の弟子として修業を積みました。その後、腕を見込まれて藩の絵図作製に関わり、55歳で藩士に取り立てられ、「地理図師」の職名を与えらました。代表作品に、萩から江戸までの街道絵図「行程記」や、防長全域の村絵図「一村限明細絵図」(いずれも山口県文書館蔵)、超大型地形模型「防長土図」(国指定重要文化財、山口博物館蔵)などがあります。近年、人気を博している、古地図を素材にした街歩きイベントで使用されている絵図の多くは、有馬が関わったものです。
山口博物館では、有馬の没後250年を記念し、5月11日(土)に歴史探訪「古地図を片手に街を歩こう-肥中街道・山口」、5月25日(土)に歴史講座「没後250年萩藩郡方地理図師有馬喜惣太」を開催します。くわしくは博物館ウェブサイトをごらんください。
山口県立山口博物館 歴史担当学芸員 山田 稔