地域の暮らしや交流を守る拠点に
生涯学習活動や地域イベントなどでにぎわう二島地域交流センター。老朽化に伴い、2017年11月から建て替え整備が進められていた新センターの建物がこのほど完成し、10月21日に供用開始された。
新センターは、旧センターの裏側に建設。構造は鉄筋コンクリート造平家建て(地階・1階)で、下の階が柱だけの空間となる「ピロティ様式」が市内の地域交流センターとしては唯一採用された。地形や形状に合わせた土地の有効活用が目的で、地階は倉庫(収納スペース)となっている。延べ床面積は1702.66平方メートルと、旧センター(427平方メートル)の約4倍の広さになった。
会議室、調理室、学習室(図書コーナー)、和室、多目的室などの生涯学習機能をはじめ、団体事務室などの地域づくり機能を完備。ユニバーサルデザインで、多目的トイレや授乳室も整備されている。
また、シャワー室等防災拠点としての機能も備え、消防車庫や詰所も合築。さらに、災害等での断水時への備えや省水力化を図るため、市内地域交流センターで初めて、雨水をろ過する装置が設けられた。ろ過した雨水はトイレを流す水として使用。地下の貯水タンクに約30トンをためることができる。
1979年に建設された旧センター(旧二島公民館)は、老朽化に伴い、秋穂二島地区連合自治会が2011年に建て替えについての要望書を、2012年に再要望を市に提出。2015年に同センター建設委員会が開設され、2018年6月から新築建て替え工事が進められていた。今後解体され、駐車場として整備される。センター建設・解体・整備の総事業費は、約8億7500万円。
これまでの歩み
二島公民館から二島地域交流センターへ
1947年9月の教育振興会発足が、二島地区での実質的な公民館開館にあたる。事務所は二島中内に設置。1948年まで同中は二島小の遊休教室を間借りしており、教室を転々とする状況だった。
1949年に教育振興会は解散したが、婦人会員や青年団員の支持も受けて同年4月、市公民館設置条例公布を機に市立二島公民館が二島小内に設置。
1956年、小学校の第一期改築工事に伴い、移転を余儀なくされたことから建設委員会が結成。1958年ついに秋穂二島出張所境内に改築と同時の公民館建築が決定。1959年3月竣工式が挙行された。交流活動の拠点として愛されたが、老朽化に伴い1978年8月に解体、1979年3月現在地(旧施設)に新築された。
2005年10月、1市4町合併に伴い、二島地域交流センターに名称が変更となった。
二島地域交流センターの完成を祝して
二島地域交流センター所長 上田 和治
1979年(1978年度)に建設された二島地域交流センターはこのほどその役目を終え、新たな地域交流センターが10月21日に供用開始となりました。
41年前に建設された旧センターは、地域の皆様のコミュニティーづくりの拠点施設として多くの皆様に利用いただき、たくさんの笑顔や出会いを生みました。
新二島地域交流センターは、延べ床面積約1700平方メートルと、これまでと比べて約4倍の広さを有しております。また、多くの木材を使用し、太陽光を取り込むなど自然のぬくもりを感じられるつくりとなっています。
これからは、皆様の地域づくり、生涯学習、防災拠点の場として、十分にその役割を担えるように、これまで以上に職員一同努力していく所存です。
最後に、センター建設にあたりご理解、ご協力を賜りました関係者の皆様方に御礼申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
旧センターの壁に寄せ書き
地域の方から思い出に壁面を活用したい要望があり、10月31日まで壁面の一部を提供。地域活動やイベントなどで利用した地域の人々による思い出や感謝の言葉、イラストなどが思い思いにつづられた。
落成記念式典では園児のステージやもちまきも
地域の交流活動拠点として今後も貢献
11月10日(日)午前10時からは落成記念式典が開催される。式典後は、10時半から二島幼稚園の園児による歌とダンスのステージが、10時45分からはもち・菓子まきが実施される。
イベント終了後は「遊びにおいでよ!『子ども広場』」が開催。coco-emi代表の小林洋子さんによる講演「こころ穏やか笑顔の子育て」もある。聴講無料で、事前申し込みも不要。
なお、同センターでは子育て世代の交流を目的とした活動やイベント開催も盛んだ。毎週月・火・木曜の午前10時から午後3時までは「二島つどいの広場『あそぼう家』」が開設。また、12月5日(木)には未就園児親子を対象にした育児講座「親子でリトミック」とミニクリスマス会が開かれる(11月21日までに要申し込み)。
入居する地域団体
同センターの団体事務室には、秋穂二島地区連合自治会と秋穂二島地区社会福祉協議会が入居している。
前者は、自然環境および生活環境の保護、人権教育などを通して地域課題の解決やコミュニティー意識向上を図り、まちの活性化に寄与することを目的とする団体で、地域内の各団体に対して、山口市からの交付金を活用した支援を行っている。主に美濃ヶ浜清掃(年4回)・美濃ヶ浜海浜公園整備と管理・兜山古墳整備など。なお、10月21日から同自治会の電話番号が083-984-2634に変更となった。
後者は、高齢者、障がい者、児童等の見守りや訪問活動を行い、秋穂二島地域の社会福祉の増進を図る団体。災害時要援護者対策にも注力し、防災訓練の実施やマニュアルづくりなどにも対応している。
地域ぐるみで清掃活動にも注力
2019年7月に海浜広場が新たに整備された美濃ヶ浜では、秋穂二島地区連合自治会主体で海岸清掃美化活動「ビューティ美濃ヶ浜」が年4回実施されている。地元の幼稚園児、小・中学校の児童・生徒や障害者支援施設「山口秋穂園」(恒松成人理事長)等と連携・協働し、秋穂湾にのぞむ美しい海の景観を守っている。
その長年の功績を称えられ、2018年5月に同自治会が、2019年5月に山口秋穂園が県瀬戸内海環境保全協会会長表彰を受けた。
また、岩屋半島(美濃ヶ浜半島)にある「兜山古墳」周辺の清掃にも取り組んでおり、2012年には山道の整備や古墳を紹介する解説板も設置された。この半島は県内で初めて縄文遺跡が発見された場所。兜山古墳は1960年に発見された5世紀ごろの円墳で、標高約20メートルの花崗岩丘山頂にある。山口湾を挟んできららドームや周防大橋も見渡せるビュースポットで、地域外から訪れる人も多いという。
ピロティ様式と雨水ろ過装置
四方は倉庫で、柱の奥に「雨水ろ過装置」、雨水貯留槽、雑用水受水槽、消火ポンプ室には消火水槽がある。なお、敷地の南東側には上階に通じる階段が整備されている。
会議室
会議室大-1、2、倉庫(兼会議室)、会議室(中)には可動の間仕切りが備えられている。すべてを外して1室とした場合の面積は約240平方メートル。
授乳室、多目的トイレ
地域づくりの拠点として、ユニバーサルデザインでバリアフリーに配慮した構造。また、災害時の避難場所としても対応できるよう、シャワー室等も備えている。
学習室(図書コーナー)
一般書、児童書等約3000冊の蔵書がある。
多目的室
毎週月・火・木曜の午前10時から午後3時は、「二島つどいの広場 あそぼう家」の活動場所としても使用される。