私の若い二十代の友人が結婚するという。何か贈り物をしたいと思い、久しぶりにデパートに行った。活動的でスポーツ好きの彼女に何を贈っていいのかわからなかったので、なんでも揃っているデパートに行った。
キッチン用品で切れ味の良さそうな包丁を握って、夫婦箸を横目に見て、寝具をそっと触ってその柔らかさにうっとりとして、可愛いエプロンやスリッパに見惚れる。スカーフやハンカチの棚には、薄い黄色やピンク、水色、淡い春のカラーが満載。彼女にはなんでも似合いそうで、選べない。
真っ白のショールカラーで胸元に春の花々が描かれたブラウスが並んでいた。可愛い、私にどうだろうか?そろりと値札を探し覗き込む。二万五千円。えっ、掌に握りこめそうなほどのジョーゼットのブラウス。いいなあー、もう一度値札を確かめると五千円とある。えっ、五千円なら買える。店員さんに聞いてみた。「これは五千円ですか」「この値札はネックレスの値段なんですよ」。よく見ればブラウスを引き立てるために細いネックレスが下げられている。値札はそこに付けてあった。
結婚祝いは決まらないまま。もう私には年代の差がありすぎ彼女の欲するものはわからない。商品券を求めた。どうぞあなたの世界の物をどうぞ。お幸せに。