堺屋太一さんが1997(平成9)年6月から約1年間にわたり朝日新聞に連載、後に書籍化された近未来小説「平成三十年」が、2月の同氏死去によって、再び脚光を浴びている。わたしも、2002(平成14)年出版の単行本を、書棚から出してみた。
あとがきに「日本では、少子高齢化、地方の過疎化、知価社会化が確実に進む」「首都機能の移転をしていなければ、中山間地は凄まじい衰退に陥っているだろう。東京で営まれる官僚機構は、現在も将来も、東京一極集中の仕組みを保つだろう」とあり、まさに今を言い当てている。
堺屋さんは、「何もしなかった、あって欲しくない日本」を描いたのだという。「真の改革に必要なのは、倫理と美意識の変更」との金言もあった。
(K)