今から40年前、1979年10月6日の土曜日、山口県立美術館の開館式典が催された。秋晴れの一日だったと聞く。開館記念の特別展「生誕150年狩野芳崖」の一般公開は翌7日から。
当時の新聞を見ると、前売券がなくすべて当日券販売だったため、6日午後8時から防府市と松山市の男性がチケット売り場前に寝袋持参で並んだという。初日は県内外から5千人が訪れた。18日には入館者3万人目達成。その記念すべき人は21歳の山口大学の女子学生だったようだ。
今から40年前、私も山口から遠く離れた地に住む21歳の学生だった。授業をサボって山登りにうつつを抜かしていた頃。山口の「や」の字も美術館の「び」の字も思い浮かぶはずもなかった。ところがその8年後、この山口に移り住んで、芳崖の作品とも関わり合う仕事に就いた。
さまざまな偶然が重なってそうなった、と理解している。でも今となれば、何かの「縁」があったから、と思いたい。
山口県立美術館副館長 斎藤 郁夫