山口市出身の詩人・中原中也の詩の「世界」にほれ込み、中也の詩に自ら曲を付け、歌い、演じる独り舞台「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌」をライフワークにもしている「表現者」の中井智彦が、先日サンデー山口を訪問。中也への思いや、10月に開催される催し「歌の灯火(ともしび)」などについて語った。
中井は1983年9月、横浜市出身。東京芸術大音楽学部卒で、2007年にミュージカル「レ・ミゼラブル」でデビュー。2010年に劇団四季に入り、「オペラ座の怪人」(ラウル役)と「美女と野獣」(野獣役)では、共に約500ステージを務めた。2015年12月の退団以降は、歌手、俳優、企画、構成、作曲、演出など「表現者」として、サラ・ブライトマンのツアーでコーラスを務めたり、「バイオハザード」「魔女の宅急便」「ひめゆり」「ナイツ・テイル」「レ・ミゼラブル」等のミュージカル出演、ラジオ番組のナビゲーターなど、多彩な活動を続けている。
中井と中也との「出会い」は、劇団四季在籍中。劇団の図書館で「中原中也全集」を目にし、読み込んでいく中で、中也の不器用な生き方や芸術論に感銘を受けたのだという。在籍中の2015年に初めて中原中也記念館も訪問。そして「中也を表現したい」との思いが募り、退団後の2016年初旬に再来山した。中原豊館長とともに同館所蔵資料に触れ、中也ゆかりの地を巡ったりもし、知識を深めた。
中也の詩に自ら曲をつけ、自ら演じ、歌い上げる独り舞台「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌」は、同年7月に東京で発表。翌2017年には中也生誕110周年・没後80年を記念し、終の住処となった神奈川県鎌倉市でも公演した。また、同年12月の「山口きずな音楽祭」にも初出演。「サーカス」「幻影」など、その一部を披露した。
その後も中井はずっと「全曲を湯田の地で披露したい」との思いを抱えていたが、ついにその願いがかなう。10月22日(火・祝)に「歌の灯火」と題された公演が開催。第1部で「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌」を披露し、2部ではミュージカルの曲やポップスを歌う。出演は、中井と米島史子(ダンス)、長濱司(ピアノ)。会場はイソズバー(山口市湯田温泉4)で、昼の部(正午~)と夜の部(午後5時~)がある。チケットは7000円で、中也記念館、YCAM、チケットぴあなどで購入できる。会場では、別途食事代(3000円)も必要。問い合わせは、主催の「山口きずな音楽祭プロジェクト」(TEL083-929-3947、info@kizunaxkizuna.com)へ。
この日は、中也、そして「きずな音楽祭」の立役者でもあったゴスペルシンガー・亀渕友香の命日でもあることから、「しんみりとした追悼ではなく、会場を『サーカス小屋』に見立てて、みなで明るく集おうと企画した」と主催者。