文化芸術団体のネットワークづくりや、優れた古今の作品に光を当てることなどによって「山口市民の郷土への誇りを高めよう」と活動している「明日を紡ぐ大地の会」(福島光子代表、TEL083-921-2476)が毎年秋に開く「市民みんなの文化祭」。これは、異なるジャンルの文化・芸術活動に取り組む団体・個人による合同発表会で、2019年は11月24日(日)に開催される。
この催しで同会は、毎回朗読劇を披露している。今年は「私小説の極北」と称される仁保出身の作家・嘉村礒多の短い生涯を描く「『神前結婚』-嘉村礒多の世界」を上演。それに先立ち、10月27日(日)午後2時から「公開稽古」が披露される。
礒多の私小説「神前結婚」は「『お父さん、やはり私は、村の停車場からだと、村の人に逢うのがイヤですから、恥ずかしいですから、朝早く隣村の駅から発ちたいと思いますね。それで自動車を六時には迎へに来るように頼んでもらいたいのですが』。父母の家に帰ってから二週間余の日が経った-」と始まる。舞台は礒多の生家だ。「公開稽古」は、その生家を改修した「帰郷庵」(山口市仁保上郷)で開催される。
同会は「嘉村礒多は山口市の誇りであり、これまでも献身的な顕彰活動が積み重ねられてきた。こうした先達たちの土台の上に、多くの市民に嘉村文学の魅力を伝え、ふるさとの礒多ファンをもっと増やしていきたい」とし、まだ「帰郷庵」を見学したことのない人には「この機会に、ぜひ礒多の生家を訪ねて」と呼びかけている。