皆様、新春おめでとうございます。皆さんは穏やかな正月を迎えられたでしょうか? 今からおよそ150年前は、大混乱の正月だったようです。明治5年(1872年)11月9日、明治政府は突然、その年の12月を2日で打ち切り、翌12月3日を明治6年1月1日にするという大変革を発表しました。旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦)への突然の切り替えです。このため明治5年は327日間になって(12月はわずか2日間しかありません)、大きな混乱が生じました。
日本では飛鳥時代の頃から千数百年の間、カレンダーに月の満ち欠けを取り入れた「太陰太陽暦」(太陰とは月のこと)を使っていましたが、明治6年(1873年)から欧米と同じ「太陽暦」を使うことにしました。年の初め(1月1日)は旧暦と太陽暦でかなりずれがあり、旧暦の明治5年12月3日が太陽暦1873年1月1日だったのです。
山口県立山口博物館 天文担当学芸員 松尾 厚