ある日もぐらはズボンを見つけました。大きなポケットのついた青いすてきなズボンです。
「どこへいけば、あれとおそろいのずぼんが、てにはいるだろう。」ねずみに聞いてもちょうちょに聞いてもわかりません。
でも、きれがあれば切ってあげるとえびがにが、縫ってあげるとよしきりが約束してくれました。さて、きれはどうしたら手に入る? もぐらが困って泣いていると、亜麻が繊維の取り方を教えてくれました。
もぐらは亜麻に言われたとおり草取りをし、水やりをし、大きく育った亜麻をぬいて集めて水につけ、それを乾かし、やっと繊維が取れました。
それをはりねずみにすいてもらい、くもに紡いでもらい、こけももの実で青く染め、ありたちに織ってもらうと、ようやくきれの出来上がり。えびがにとよしきりは、約束どおりきれをズボンに仕立ててくれました。
みんなの力を借りて作ったズボンをはいたもぐらの嬉しそうなこと!
続篇の「もぐらとじどうしゃ」では、もぐらは勿論、この青いズボンをはいて登場しますよ。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
福音館書店
文:エドアルド・ペチシカ
絵:ズデネック・ミレル
訳:うちだ りさこ