(6月20日付・松前了嗣さん寄稿の続き)
大男
薩摩藩主・島津忠義の身長は190センチ近くあったといわれている。
1866(慶応2)年6月、イギリス公使パークスに同行し鹿児島を訪れたイギリス人記者は、日本人でこれほど背の高い人物は初めて見たと驚いていたそうだ。
薩摩藩ではこの他にも、西郷隆盛が178センチ、体重が約110キロ。大久保利通が178センチ。村田新八、辺見十郎太も180センチくらいあったと伝えられている。
日本人男性の平均身長が155センチ程度という時代である。彼らがいかに大男だったかということがわかる。
これには、中国や琉球と交流があった薩摩の食文化が影響しているようだ。肉食がタブー視されていたこの時代、薩摩では、豚肉を黒砂糖、みそ、焼酎で煮込んだ豚骨など、肉食が公然と行われていたという。
隆盛の伝記「南洲翁逸話」にも「豚骨とみそ汁を好まれ、骨をすすりてその味を賞された」と記されている。
薩摩人は、豚肉を食べることによって動物性タンパク質やビタミン類を摂取していたのだ。
三田尻に上陸した大柄な忠義の姿を見て、長州人は大変驚いたことだろう。
(続く。次回は7月4日付に掲載します)