糖尿病、がん、心臓病、脳卒中といった「生活習慣病」患者の増加が問題となっている。近年の国民の健康水準は向上しているものの、高齢化や社会生活環境の変化等が増加の要因だ。
生活習慣病とは、食事や運動習慣、ストレス、喫煙、飲酒といった生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気の総称だ。具体的には、がん(悪性新生物)、循環器疾患、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などが挙げられる。中でも、がん、心疾患、脳血管疾患は「三大生活習慣病」と呼ばれている。また、運動不足や肥満などを要因とする「メタボリックシンドローム」は、心臓病や脳などの血管の病気につながりやすいので、注意が必要だ。
2018年度の統一標語を「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ ~健康寿命の延伸」と定め、9月に厚生労働省が実施する「健康増進普及月間」。食生活改善普及運動と連携して、全国的に様々な啓発活動が展開される。この機会に、今一度生活習慣病への認識を深め、生活習慣の見直しや、病気リスクの早期発見などを心掛けていくことで、健康な身体を目指してみては。
予防するには?
生活習慣病の予防には、内臓脂肪の減少が重要だ。
まずは、食生活を見直すことから始めよう。エネルギー過多やコレステロールの過剰摂取、ビタミン・ミネラル不足、塩分の過剰摂取、アルコールの飲み過ぎ、偏った食事などは、内臓脂肪蓄積の原因となる。①1日3食を規則正しく食べる②腹八分目を心掛ける③夕食は就寝の2~3時間前には済ませる―といったポイントを心掛けるとよい。
次に、運動する習慣を付けよう。掃除や洗濯などの家事、徒歩での通勤・通学、階段を歩くなど簡単なものでも立派な運動だ。さらに、禁煙も重要な予防策となる。喫煙は動脈硬化や高血圧を招く恐れがあり、吸う本人はもちろん、周囲の人にも副流煙として悪影響を及ぼす。
そして、定期的な健康診断の受診により、自身の血糖値や血圧などの推移を把握し、その変化に応じて生活習慣を見直していくことが必要だ。
進む若年化
生活習慣病はかつて「成人病」と言われていたが、発症年齢が近年低下し、10~20代の若者からもその兆候が見られるように。初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づけば病気が進行していたということも。「自分は平気」などと思わずに、自分の健康は自分で守るという意識を身に付けておくことも大切だ。
健康寿命をのばそう! スマート・ライフ・プロジェクト
厚生労働省が「健康寿命をのばしましょう」をスローガンに進めている「スマート・ライフ・プロジェクト」。これは、国民が人生の最後まで元気に健康で楽しく生活が送れることを目標としたもので、具体的な三つのアクションを呼び掛けている。一つ目は、「適度な運動」で、毎日プラス10分の運動を目安としている。二つ目は「適切な食生活」。いつもの食事にプラス70gの野菜を意識して取ることで、理想的な食生活に近づくという。三つ目は「禁煙」。たばこは健康だけでなく肌の美しさや若々しさを失うことも意識したい。これらに加えて、定期的に健診を受け、病気のリスクを早期に発見し、対処することで長く健康に生きられるとしている。