「ぼく」のおじいちゃんは、会うと必ずお小遣いをくれ、時々魚つりにつれて行ってくれます。おじいちゃんのいないベッラはうらやましくてなりません。そこで「ぼく」は、おじいちゃんを見つけられる場所へベッラを案内しました。そこは、老人ホーム!
ベッラは一人きりでトランプあそびをしていた老人、ニルスさんを見つけ、その人を自分のおじいちゃんにすることに。その日から二人はニルスさんに会いにホームへ通います。
部屋に閉じこもりがちだったニルスさんは、二人に誘われて外に出ることで、日の光をあび、風の運ぶ香りをかぐ幸せを思い出します。
鳥のさえずりにあわせて口笛をふくニルスさんを見てベッラも挑戦しますがうまくいきません。
「こんど会うときには おまえの口笛がききたいな」
「うん、おじいちゃん。きっときかせてあげる」
しかし、ベッラはニルスさんに口笛を届けることはできませんでした。
別れの辛さよりも、ニルスさんの最期の数日が幸せいっぱいだったことが心に残る作品です。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
ほるぷ出版
作:ウルフ・スタルク
絵:アンナ・ヘグルンド
訳:菱木晃子