山口県指定無形文化財萩焼保持者に認定され、9月11日に認定証が授与された。「作陶歴50年の節目の年に光栄」と喜ぶ。
山口萩焼の開祖、大和作太郎(松緑)のひ孫にあたり、八年前に亡くなった兄の勝さん(三代目吉孝)と代々続く大和吉孝松緑窯を守ってきた。
モミジやホシとも呼ばれ、浮かびあがる釉調ほのかな「御本」と、赤や黒で映し出される無釉部分との対比を特徴とする作品の数々には、「本来の萩焼らしさを失いたくなくて」という伝統への敬意が表出されている。
「兄は生涯を通して井戸茶碗を作り続け『吉孝井戸』とも呼ばれた人。その兄が心酔した井戸茶碗の魅力に今後は迫ってみたいし、装飾においては『御本』を自由に操ることができれば」と作陶意欲は尽きない。
座右の銘は「継続は力なり」。
【プロフィル】1946(昭和21)年9月、宮野生まれの72歳。宮野小・中、山口高から立命館大へ。卒業後帰山し、父の誠さん(二代目吉孝)のもとで、作陶に励む。2008(平成20)年山口県選奨受賞、2016(平成28)年からは日本工芸会山口支部常任幹事に就任。