仁保の「七義民」をご存じだろうか。
1717(享保2)年、他地区の人たちが権利(入会権)がないにもかかわらず、仁保の山から肥料となる芝草を刈り取ってしまった。注意後にも侵入は繰り返され、仁保の7人の庄屋は勘場(役所)に申し出たが、役人は耳を貸さなかった。そのため仁保の農民たちは怒り、約800人が暴徒化し、一揆を起こした。その後、萩藩の代官との話し合いにより、最終的に仁保側の言い分は認められたが、7人は騒動の責任を問われ、翌18年12月6日に「下田河原」で処刑された。彼らは「七義民」として地元であがめられ、一連の事件は「下田しぐれ」と呼ばれている。同地域には、七義民の墓碑・地蔵も建立され、今も供養が続けられている。
刑死から300年という節目を迎え、義民の一人、末永彌右衛門の子孫に当たる弁護士の末永汎本さんを中心に、あらためて彼らを顕彰しようという動きがある。
末永さんは、2003(平成15)に自身と彌右衛門との関係を知り、山口県文書館などで調査を続けてきた。そして今年7月、1917(大正6)年に発行された書物「下田のしぐれ」を復刻し、自身の研究も加えた冊子(A5版25ページ)を発刊した。送料180円を負担すればもらうことができる。申し込み・問い合わせは法曹ビル(TEL:083-922-0415)へ。
10月25日には、同じく彌右衛門の子孫に当たる医師の末永和之さんと汎本さんが、7義民への供養を続けてきた同地域への感謝の印として、山口市に300万円を寄付した。
12月5日(水)には、「仁保七義民三百年祭」も、実行委員会によって開催される予定。さらに、慰霊碑の移設や下田しぐれの映像化なども計画されている。