どんくまさんが木の下で昼寝をしていると、頭の上にりんごが落ちてきました。
見上げると、りんごがすずなりです。どんくまさんはおもしろがって木をゆすり、りんごを全部落としてしまいました。
そこへやってきたのはこの木の持ち主、うさぎのじゃむ屋さん。りんごを取る手間がはぶけたと喜んで、ついでとばかりに、どんくまさんにりんごをうちまで運んでもらい、じゃむ作りの手伝いを頼み、その上、できたじゃむを売る仕事もどんくまさんに任せます。
「りん りん りんごじゃむ できたての りんごじゃむ いりませんか」
元気な売り声に誘われて、お客さんがたくさん集まってきました。ところがどんくまさん、じゃむをただでみんなにあげてしまったのです。
どんくまさんの気のよさは、紙質にこだわりを持って作られたこの本のやさしい手触りと色合いからも伝わってきます。
腹をたてたじゃむ屋さんとも最後は仲直り。二人でもう一度じゃむを作るページからは、甘い香りが漂ってきそうです。
(ぶどうの木代表・中村佳恵)
至高社
文:蔵冨千鶴子
絵:柿本幸造