レノファ山口FCの2019年シーズンは、13勝8分21敗、勝ち点47の15位。チャンスに勝ち点を積み上げきれず、悔しさの残る幕切れとなった。この部では、“ORANGE SOUL”(オレンジソウル)をスローガンに最後まで奮闘した昨季の戦績をはじめ、誕生15年目を迎えるクラブの軌跡、応援企業の熱い思いやスタジアムグルメなどをお届け。まずはチーム一丸で挑んだ4年目のJ2シーズンを、10試合ごとに振り返ってみよう。
1-10節(2月24日~4月21日)
かつてレノファの昇格に貢献した小池龍太選手の古巣戦としても注目された第1節(柏レイソル戦)は、先制点を奪うも後半に逆転を許した。第2節(ヴァンフォーレ甲府戦)では#24山下敬大選手が1試合2得点を記録したが、相手のゴールラッシュに撃沈。ミスも絡む悔しい2連敗を喫した。
開幕初勝利は、開幕0勝同士で対戦した第3節(ジェフユナイテッド千葉戦)。前半のオウンゴールや退場など相手のアクシデントも絡み、後半はレノファのペースに。山下敬大選手がこぼれ球で追加点を奪い、そこから点の取り合いを展開するなか、最後は#4高井和馬選手の2連続ゴールが乱戦を制した。
第4節(愛媛FC戦)では、#19工藤壮人選手のレノファでの初ゴールが決まるも惜敗。第8節(V・ファーレン長崎戦)までは、チャンスを作るも勝ちきれない試合が続いた。
第9節(鹿児島ユナイテッドFC戦)は互いにゴールに迫りながら得点を奪えず、スコアレスのまま試合終了かと思われた90分、#49菊池流帆選手がこぼれ球を押し込み土壇場で先制。アディショナルタイムの猛追を耐え切って、ホーム初勝利を挙げた。
第10節(モンテディオ山形戦)では終盤に#8佐々木匠選手が値千金のPK弾を決め2連勝。粘り強さと集中力を保ち、戦況も上向く兆しは見えたものの、ここまで3勝2分5敗と苦しい滑り出しに。
11-20節(4月28日~6月30日)
引き分けを挟んで5試合に勝ちがつかないなか、下位から這い上がろうと気迫で臨んだ第16節(水戸ホーリーホック戦)。序盤から主導権を握ると守備の強度を上げて猛攻を跳ね返し、先制点を守り抜いて6試合ぶりの勝利をつかんだ。第17節(横浜FC戦)、第18節(ファジアーノ岡山戦)ではいずれも1点リードされた状況から途中出場の#14吉濱遼平選手が2戦連続得点で引き分けに持ち込み、第19節(FC岐阜戦)は吉濱遼平選手の先制点に高井和馬選手、山下敬大選手、佐々木匠選手が追加点を挙げて4-0の完勝。
第20節(アビスパ福岡戦)では前半を負け越すも後半で主導権を握り、開幕初の逆転勝利を飾るなど、6月は一転負けなしで順位もじわじわ上昇。
21-30節(7月7日~9月1日)
第21節(FC町田ゼルビア戦)まで3連勝と波に乗ったが、第22節(栃木SC戦)では後半から相手の勢いに押され、最後の最後に逆転負けを喫した。
激しい雨の影響を受けた第23節(アルビレックス新潟戦)は同じく先制後に逆転を許したが、後半に菊池流帆選手のチャンスメイクから工藤壮人選手が同点弾を放ち、貴重な勝ち点1を獲得。第28節(ヴァンフォーレ甲府戦)では、天皇杯3回戦出場のため、中2日の厳しいコンディションの中でさらに勝ち点3を積み上げた。
第29節(V・ファーレン長崎戦)は、雨の中のホーム戦ながらJ2昇格以来4番目に多く、昨季最多の入場者数1万2105人を記録。試合は無得点の残念な結果だったが、会場では「満員のスタジアムで、夏休み最橙(さいだい)の思い出づくり」と銘打ち多彩な企画が展開。ハーフタイムには初めてオレンジ色のジェット風船が空を舞った。
31-42節(9月8日~11月24日)
第32節(愛媛FC戦)では#10池上丈二選手が抜群の存在感を発揮。#29三幸秀稔選手、山下敬大選手のゴールを絶妙にアシストして4試合ぶりの勝利をつかんだ。第37節(鹿児島ユナイテッドFC戦)の「令和最初の薩長ダービー」はシーズン唯一のスコアレスドロー。第38節(ジェフユナイテッド千葉戦)まではホーム負けなしの好調を維持したが、第39節(FC琉球戦)は激しい球際の攻防の末、ドローで決着するかと思われた土壇場で相手の勝ち越しを許した。
ホーム最終戦の第41節(モンテディオ山形戦)では、16歳の#42河野孝汰選手がトップチームデビューを果たした。試合は2点を先制しながら後半にハットトリックを達成されて無念の逆転負け。試合後に開催された#2坪井慶介選手の引退セレモニーに花を添えることはかなわなかったが、浦和レッズ時代のチームメートの平川忠亮さん(現・浦和コーチ)と小野伸二選手(現・FC琉球)もサプライズゲストで登場するなど、18年という長い現役生活の功績が所属チームの垣根を超えて称えられた。
坪井慶介選手は最終戦の第42節(徳島ヴォルティス戦)に先発。最後まで奮闘したレノファだが、結果は4連敗と厳しい終戦になった。
Jリーグの実力派やルーキーなど多彩なメンバーが加わり、若い力の成長を促しながらチームを強化する難しさが結果に表れた昨季。それでも選手たちの戦う姿勢にブレはなかった。
今シーズンも霜田正浩監督続投が決定。その手腕の真価も問われる3年目“霜田レノファ”に注目だ。