薪(柴)を背負って読書をする像が、かつて小学校の校庭などで見られた二宮金次郎(尊徳)。刻苦勉励の象徴ともされた幼少期の姿は有名だが、後年多くの経営者・実業家にも影響を与えたその思想や、生涯をかけて成し遂げた功績をご存じだろうか。
江戸末期、道徳と経済を結び付けた独自の手法で村人の心を一つにまとめ、600以上の農村復興に尽力した金次郎の実像と激動の人生を描いた映画「二宮金次郎」(2018年、日本)が、3月20日(金・祝)に山口県教育会館(山口市大手町2)で上映される。時間は午前10時半からと午後2時からの2回。
監督は「長州ファイブ」(2006年、日本)を手掛けた山口県とも縁の深い五十嵐匠。プロデューサーと脚本は「武士の家計簿」(2010年、日本)の永井正夫と柏田道夫が再タッグを組んだ。また、音楽は「半落ち」(2004年、日本)で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した寺嶋民哉、撮影は「蝉しぐれ」(2005年、日本)で同優秀撮影賞受賞の釘宮慎治と、熟練のスタッフが集結。キャストには、主人公の金次郎を演じる合田雅吏、その妻役の田中美里をはじめ、石丸謙二郎、犬山ヴィーノ、榎木孝明、田中泯、成田浬、長谷川稀世、山口馬木也、渡辺いっけい、綿引勝彦ら個性の光る実力派俳優が名を連ねる。
洪水や両親の相次ぐ死による一家離散と貧困などの幼少期の経験を通して、金次郎がどのような思想にたどり着き、いかに人心をつかんで荒廃した農村のコミュニティーを動かしたのか。精神論だけでなく、現代にも通じる優れた経営手腕を持つ「改革者」としての姿が、ドラマ仕掛けの面白さと正統派時代劇の清涼さをもって丹念に描かれている。
製作過程から多くのサポーターらに支えられた同作品は、映画館での上映ではなく、「二宮金次郎号」と名付けられた車に、1万2000ルーメンという通常の映画館にも負けない映写機と6メートル超のスクリーンを積み込み、全国各地の公共施設等を巡回。自治体や教育委員会、民間企業などの協力を受けて、これまで全国141カ所で公開された。
山口市での上映に向け実行委員会を立ち上げたハタノ・イングリッシュ・ハウス(山口市宮野下)の波多野義憲代表は、「五十嵐監督は、金次郎は経済人であり、農政家でもあり革命家でもあると話されている。幼少期の艱難辛苦を乗り越え、後に『報徳仕法』『一円観』や『真のリーダーシップ力』など、この映画の鑑賞を契機に金次郎が残した偉業をご家族で学んでいかれればと思う。今の時代だからこそ、小学生高学年や中高生からお年寄りの方までぜひ見ていただきたい」と呼び掛けている。
チケットは、特別価格の1000円(大人・子ども同額)。
サンデー山口でも取り扱っています。購入希望者は、平日午前10時から午後6時にご来社ください。