何らかのアレルギー疾患に悩まされている人はいまや国民の約2人に1人ともいわれ、厚生労働省と日本アレルギー学会は、正しい知識の周知を目的に「アレルギーポータルサイト」(https://allergyportal.jp/)を2018年10月に公開した。2月20日は「アレルギーの日」。花粉の飛散も本格化するシーズンを控え、代表的なアレルギー疾患とその留意点などを紹介する。何らかの症状が出たら、自己診断せず紙面に掲載の医療機関や薬局などに相談しよう。
花粉症
鼻水・くしゃみ・鼻づまりが3主徴。花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向がある。県医師会によると今年は、スギ花粉の実測値が過去最多となった昨シーズンよりは着花状態の不良な木が多いものの、昨シーズン並みの雄花をつけている木も少なくないという。ヒノキについては、過去2番目に多い飛散量を記録した昨シーズンに比べれば花芽は少なめ。ただし予測を上回る可能性もあるので注意が必要だ。
アレルギー性結膜炎
結膜が外気に直接触れていることや、涙液が抗原を溶かしやすいことなどから、目はアレルギー反応が生じやすい場所とされる。カモガヤ(5~7月ごろ)やカナムグラ(9~11月ごろ)などの花粉飛散時期には、同じアレルゲンで目と鼻にも症状があらわれる。掻くほど余計にかゆくなり、粘膜を傷つける恐れも。視力に影響する場合もあるので、症状があらわれたら早めの受診を。
ぜんそく
気道に慢性的なアレルギーの炎症が生じ、様々な原因で気道が狭くなり呼吸が困難になる。ダニやカビなど環境のアレルゲンに反応するアトピー型ぜん息と、アレルゲンに反応しない非アトピー型ぜん息がある。治療とともに、環境整備などで危険因子を回避することが大切だ。
アトピー性皮膚炎
皮膚にかゆみのある湿しんや炎症、肌の乾燥などが慢性的にあらわれる状態。顔や首、ひじやひざ裏などに発生しやすい。一度治まっても再発するケースがあるという。ハウスダストやダニ、花粉といった環境的要因と、遺伝による体質的な要因とがある。
食物アレルギー
特定の食物が原因でアレルギー反応を起こすことがある。症状の出かたや重症度には個人差があり、原因となる食物アレルゲンの種類・量・品目数・耐性獲得の時期なども人により異なる。なお、食中毒や食物不耐症など食物アレルギーと間違えやすい症状もあるため、専門の医師による正確な診断が必要となる。
アナフィラキシー
アナフィラキシーは、アレルギー反応により複数の臓器に症状が強くあらわれる状態。特に、血圧低下や意識障害を伴う場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、一刻も早く医療機関で適切に対応を進めないと生命にかかわることも。小児の多くは食物アレルギーが原因だが、ハチやアリなど昆虫の毒と薬剤も誘因となる。
アレルギーの日・アレルギー週間とは
免疫学者石坂公成・照子夫妻がアレルギーを起こす原因物質「lgE(免疫グロブリンE)」を発見し、その成果を米国アレルギー学会で発表した1966年2月20日にちなみ、日本アレルギー協会が1995年にこの日を「アレルギーの日」と制定した。また、毎年2月17日から23日の1週間を「アレルギー週間」として、全国各地で啓発普及活動が実施されている。