早朝五時、私はじゃが芋の皮を剥く。私はのろまだから、出かける予定がある日は、朝から夕食の準備をしておく。たいしたものを作るわけではないが、そうしないと間に合わないのだ。出かけて帰ってくると疲れているので、朝準備していないとラーメンか、レトルト食品になる。その買い置きもない時には、菓子などで腹を騙してしまう。結果、胃が重く不調が続く。
じゃが芋さん、どうして皮があるの? 人参さんの皮は剥かなくっても食べられるのに。牛蒡君も軽くタワシでこすると食べられるのに。じゃが芋さんの皮だけ剥かないと口の中に残ってしまう。茹でてつぶすサラダには皮がかなり入っていても大丈夫だけれど。じゃが芋さん、なんでこんなに凹凸があるの? 黄緑色の芽まで出して…剥きにくいわ。ぶつぶつ言いながら剥いていると、近くの交差点を曲がるトラックのタイヤの軋む音が聞こえる。これは馴染みの音でいつも五時過ぎに聞こえる。どこに行くのかしら? この先の大型スーパーへの荷物かしら? 夜通し走ってきたの? 運転手さん疲れていないかな。新聞配達のバイクの音は朝によく似合う。じゃが芋を火にかけたら、新聞を読もう。今日は明るく元気の出る記事があるかな。笑顔の写真が見たいな。読み終わる頃にはじゃが芋は煮えている。