萩往還第二の峠、中ノ峠を越えると道は谷合に開けた田圃の脇を下って行く。小春日和の日にはここをのんびり歩くのもなかなか良い。中ノ峠は、かつて明木村と佐々並村を分かつ峠だった。昭和30年に合併して旭村となっても、萩市と合併するまで、村役場は2年毎に明木と佐々並を行き来したというから面白い。
萩往還の側には立派な木柵が作られているが、もちろん復元整備時に新設されたものである。気持ちの良い場所なのだが、この付近の田圃はどうやら圃場整備されたようで、おそらく萩往還のかつての位置は現在とは違った所を走っていたと推測する。しかし、整備が見事過ぎて、往時を偲ぶものが一切ないのが残念。
文・イラスト=古谷眞之助