倉庫の整理をした。長年なにやらかにやら放り込んでいる倉庫。昔の結婚式の引き出物の鍋や食器類。鳴らないラジオ。なぜか鶴嘴まである。両方の先端がとがった鶴のくちばしのようだから鶴嘴と名づけられたのだろうが、鶴嘴の先端と柔らかい優雅なイメージがある鶴とは対極にある。いや、鶴のくちばしは鉄のように堅く、それで容赦なく小魚を追いかけつまんで食べる。鶴嘴の土への一撃と同じ強さを持っているのだ。
朽ちかけたダンボール箱を開けると、漫画本の間に一本の賞状の筒があった。ポンと筒の蓋を引っ張ってあけると、一枚の賞状が出てきた。“賞状 三等賞 あなたは秋季大運動でよい成績をあげましたので表彰します”。おお、運動会の多分徒競走だろうが、三等になったことがあるのか! 私は、運動オンチで運動が嫌い。特に運動会の徒競走は大嫌いだった。私は身長が高かったので、徒競走の列の組み合わせには運動得意の人達ばかりだった。陸上競技で県大会に出るような同級生が闘志満々で横に並んでいる。最初から既に気圧されている。でもまあ、一度でも賞状を貰うことがあったなんて、ちょっとウキウキした。後はどんなに探しても一枚の表彰状もなかった。たった一枚の表彰状も三度読み返して捨てた。さよなら、運動会。