この本には、人々の手から手へと伝えられてきたおりがみの折り方が、薄手の四冊の本に分けて紹介してあります。
最初の二冊には「かぶと」「ふうせん」「やっこ」など基本的な折り方で簡単に折れるものや、「めんこ」「かみでっぽう」など折ったものを使って遊ぶことのできる作品が集めてあります。
おりがみの中で最も知られているのは「つる」でしょう。江戸時代に作られた『千羽鶴折形』という本には、たった一枚の紙に切れ目を入れて折るだけで、つながった状態のつるを二羽から九十七羽まで折り出す方法が書いてあるそうです。『伝承おりがみⅢ』にはそのうちの四つの折り方が木版挿絵とともに載せてあり、おりがみ文化の奥深さが味わえます。
四冊目には外国のおりがみも取り挙げてあり、スペインの「せんちょうさんのTシャツ」など、それぞれのお国柄を楽しむことができます。
一枚の紙からさまざまな美しい形を生み出すおりがみあそび。この見事な伝承あそびの文化を、次の世代に確実に伝えていきたいものです。
(ぶどうの木代表・中村 佳恵)
福音館書店
編・絵:つじむら ますろう