人々に脅威を与える感染症。過去にコレラや天然痘などの感染症と闘ってきた人々の歴史を刻み、静かにたたずむ石仏がある。
仁保上郷の金坪地区には、疫病除けの石仏がある。舟形をした光背を持つ地蔵で「■■(きし)乙(おつ)」「安政二歳立」と刻まれている。
この地蔵尊が建てられた江戸時代は、「美目定めの病」と呼ばれた天然痘やコレラが流行。それらの疫病から村を守るために石仏は、集落の入り口に安置されたと伝えられている。
「疫神と福神」(大島建彦著)で紹介されている1860(安政7)年の刷り物には「此■■(きし)乙(おつ)の三字を紙に書て門戸に張ば、疫鬼悪病を除ると云」とあり、当時、厄除けの文句として使われていたことがわかる。