大きな青い目のこねこが、たったひとりでねずみの国を探しに出かける冒険物語。
湖で出会った魚には水をかけられ、ねずみの国の入り口に違いないと思って入ったほらあなでは得体の知れない大きな目玉ににらみつけられ…と、こねこの冒険は前途多難。それでも「なーに なんでもないさ」と、へこたれることなく進んでいきます。
そのうちに出会ったのは、黄いろい目をした五匹のねこ。彼らもねずみの国を探していたのですが、目の色が違うからといって仲間に入れてくれません。
それでもこねこはあきらめず、大きなピンチをチャンスに変えて、とうとうねずみの国を見つけることができました。
余白をたっぷりとった画面に大胆な線で勢いよく描かれたこねこの姿には、どんなときも「おもしろいことをしてみよう。なんにもなくても、げんきでいなくちゃいけないもの」と前向きな彼の性格がよくあらわれています。
ユーモラスな絵と軽やかな文章。二つの息がぴったり合った作品です。
(ぶどうの木代表・中村 佳恵)
福音館書店
作・絵:エゴン・マチーセン
訳:せた ていじ