画集を閉じて、「グッドバイ」なんてと何度もつぶやきながら庭の草取りをした。その時、口をついた歌があった。皆さんご存じの「グッドバイ」だ。
“グッド バイ グッド バイ/グッド バイ バイ/父さんお出かけ手をあげて/電車に乗ったら/グッド バイ バイ”。これは、父さんが必ず帰ってくると信じている歌詞だ。グッドバイ、幸せのグッドバイ。
三番目の歌詞はこうだ。
“グッド バイ グッド バイ/グッド バイ バイ/三匹うまれた犬の子も/よそへあげたら/グッド バイバイ”。子犬は帰ってはこない。子犬を遠くの人にあげたらもう会えない。しかし、別れた子犬は幸せに生きていくのだ。死にはしない。
草取りを中断して考えこんでしまった。私が草を引き抜く度に、引き抜かれる草は周囲の草に「さようなら」と言っているような気がする。草抜きを正当化するために「来年また会いましょう」なんて私は言った。今までの経験上、草は来年も生える。しかし、今年の草ではない。
そんなことを友人に話した。返事はこうだ。「GOOD-BYEは、GOD BE WITH YOUのつづまった形なのよ。つまり、神のご加護あれ、と言っているのよ」 もう一度「出征兵士盲目の母に袂別す」を見た。言葉はいらない。