本来ならば2カ月の会期だったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため開幕を延期し、最終2週間だけの開催となった。
観覧にあたっては、当館でも初めて実施するような厳しい制限を設けた。体温測定や両手のアルコール消毒を経て、10分ごとに15人のグループを入場させる。展示室ごとの観覧時間と展示室間の移動にも制限を加えた。すると、今までの大混雑した会場とはうってかわり、ゆったりした展示空間が生まれた。落ち着いて鑑賞できたという声もたくさんいただいている。
新型コロナウイルスが私たちの生活面に及ぼす影響は、まだまだ続く。少なくとも美術館は、今回と同じような制限のもとでの運営が求められるだろう。しかしゆっくりと鑑賞できたという事実は、“コロナ後”の新しい鑑賞スタイルのヒントとなるかもしれない。
とはいえ、いったい、これからどうなってゆくのか、先が見通せないなかで、今後の展覧会の準備は進む。
山口県立美術館学芸参与 斎藤 郁夫