佐々並にある藩主の宿泊場所「御茶屋」跡や一里塚を過ぎた所に、街並みを見下ろすのにちょうど良い高台がある。イラストはそこからの眺めを描いたもの。萩往還から少し外れているが、ガイドの際、時間が許せば必ず立ち寄ることにしている。
目につくのは屋根の瓦の色だろう。石見の国で生産されている石州瓦と呼ばれるもので、特に雪深い所で多く用いられているという。東京からの方は決まって「屋根が赤いですね」と言われる。私には決して赤くは見えず、茶色と思うのだが、敢えて異議は唱えない。手前の広い場所は脇本陣とも言うべき「御客屋」があった所で、こちらには上級武士が宿泊していた。
文・イラスト=古谷眞之助