高校生棋士・藤井聡太7段の大活躍で、将棋界がいっそう注目を浴びています。
現在、プロのタイトル戦などで使用されているのは「本将棋」(将棋盤は81マス、駒は8種類・40枚)で、私たちにも馴染み深いものです。
一方、歴史的には、大・中・小将棋といった、マス目・駒数やルールの違う古将棋と呼ばれるものがありました。写真は、館蔵の毛利家伝来の「中将棋」です。将棋盤は144マス、駒は92枚で、駒の種類は、玉(王)将・金将・銀将・飛車・角行のほかに、獅子・麒麟・鳳凰・銅将といった聞きなれないものも加わり、全21種類に及びます。また、駒を捕獲しても自分の持ち駒にはできず、盤上から取り除かれるなど、ルールも本将棋と少し異なっています。ともあれ、この中将棋は、江戸時代に、殿様やその周辺で使われたものと思われます。もしかしたら、殿様を打ち負かす、藤井7段のような若い藩士がいたかもしれませんね。
山口県立山口博物館 学芸専門監 山田 稔