現在は無人駅のJR山陽本線の本由良駅。今から120年前の1900年、「阿知須駅」の名前で開業し、駅前は繁華街だった。
1900(明治33)年、三田尻-厚狭間に山陽鉄道が開通し、佐山の由良に「阿知須駅」(現本由良駅)が誕生した。周辺はまだ道路や鉄道網が整備されておらず、農村だった由良は物流の一大拠点となった。
駅には駅長や助役が常駐し、駅前は商店や旅館などが軒を連ねていた。往時を知る人は「文化の殿堂」「山口地方の銀座」と栄華の様子を郷土史に書き残している。
1925年、宇部線が開通すると、駅前は次第にさびれていく。阿知須に「本阿知須駅」(現阿知須駅)が開業し、紛らわしさなどから50年、「本由良駅」に改名された。