山口市内の文化芸術団体のネットワークづくりや、古今の優れた作品・人物に光を当てることなどによって「市民の郷土への誇りを高めよう」と活動している「明日を紡ぐ大地の会」(福島光子代表、TEL083-921-2476)が、7月26日(日)午後1時半から山口市民会館(山口市中央2)小ホールで「第7回女流芸術家発表交流会」を開催する。
出演するのは、同会、中南米音楽演奏家の平尾節幸さん、花柳流「むつみ会」。5月の開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。
今年4月に創立10周年を迎えた明日を紡ぐ大地の会は、愛知県出身の童話作家・新美南吉作品を上演する。演目は、路上で出会った盗人と少年の会話を中心に展開する「うた時計」の朗読劇と、新美南吉が19歳の時に児童雑誌「赤い鳥」に掲載され、半世紀以上小学校の教科書に採用されている「ごん狐」の大型紙芝居。朗読とスライドによる新美南吉の紹介を挟み、朗読劇から紙芝居へと場面が転換される。
新美南吉は、幼少期に母を亡くし養子に出されるなどさびしい子ども時代を過ごした。若くして病に冒され、初の童話集を出した翌年の1943年に29歳で死去。一方で、文学の師である北原白秋をはじめ先輩詩人の巽聖歌や与田準一、恩師、友人、恋人、小学校・女学校での教え子など多くの出会いに恵まれ、素朴な善意や人生の哀歓を詩情豊かに描いた作品を多数残した。脚本・演出を手掛ける福島久嘉さんは「人や社会の見方が変わることを感じ取ってもらえたら」と話している。
また、平尾さんはアンデスに伝わる民族楽器・ケーナで「風とケーナのロマンス」「コンドルは飛んで行く」などを演奏。花柳流「むつみ会」は、女姿の牛若丸が五条の橋の上で弁慶と出会う痛快物語「橋弁慶」、毛槍踊りの入った「水仙丹前」、祝賀の舞「島の千歳」を披露する。
チケットは大人1000円(高校生以下無料)で、同館などで購入可能。来場に際しては、マスクの着用と座席間隔を空けての鑑賞を呼び掛けている。