新型コロナウイルスの影響で中止となった山口祇園祭の「市民総踊り」の代わりに、オンラインを通じて国内外から「大内の殿様」の踊りを奉納する催しが、7月26日に八坂神社御旅所(山口市駅通り1)で行われた。
「大内の殿様」は、例年山口祇園祭の中日・7月24日に行われる市民総踊りで長年踊られている楽曲。コロナ禍による中止が決定し、総踊りを指導する日本舞踊家の花柳寿寛福さんが同神社の承諾を得たうえで、踊りの動画提供とオンラインでの参加を広く呼び掛けた。
動画は、山口市の姉妹都市であるスペインのパンプローナ市や防府市の姉妹都市であるアメリカのモンロー市など、国内外から91人が踊る46本が寄せられ、一曲分の映像として編集。当日はお祓いに続いて、スクリーンに投影された動画「奉納舞踊ムービー」と生中継の参加者、そして御旅所の寿寛福さんが一緒に踊りを奉納した。時差を考慮して午前9時と午後6時の2回実施され、朝はアメリカ、ブラジル、夕方はスペイン、オーストリアからの参加もあった。
寿寛福さんは「疫病退散を願って始まったという祇園祭の原点に戻り、国や場所を越えて世界中の皆さんの願いを形にした踊りになった。手拍子のみや心の中で踊ってもらうなど、踊り方は参加者それぞれにおまかせとさせてもらった。奉納舞踊を体験してもらう事で、海外の方には日本の精神性に触れていただけたのではと思う。また、国内の方には中止イコール何もしない、諦めるではなく、『伝統の紡ぎ方を模索しませんか』というメッセージになれば」と話す。なお、今回の様子は後日、SNS等で伝える予定という。
寿寛福さんは、総踊りの中止決定を受けて今年6月からこれまで4回オンラインで「大内の殿様」を踊る催しを開催。国内外から毎回約100人が参加しており、次回は8月9日(日)午後6時から。山口市国際交流員のマリア・ルビオさんによる山口市とパンプローナ市の紹介や踊りのレクチャーもある。参加は無料だが、事前申し込みが必要。詳細はフェイスブックページ「FeelYamaguchi オンライン『大内の殿様』おどろう会」(https://www.facebook.com/FeelYamaguchi)。