萩往還沿いの一里塚で現存するものは、萩側から悴坂、中の垰下、佐々並市頭、上長瀬、一の坂の5カ所のみである。山口・防府市街のそれは江戸期の絵地図「行程記」(山口県文書館所蔵)を広げてみれば凡その位置が分かるので、気になる方は確かめてみて欲しい。現存する5カ所の一里塚の中でも、ここ上長瀬の一里塚は県指定史跡となっており、これでも、悴坂の一里塚同様に原形をよく留めていると言われている。
かつては、塚の上部に塚木が建てられて、萩からの里程、三田尻までの里程が記されて旅人の歩く目安となっていた。後年、多くの塚が崩壊したのは、塚木の代わりに常緑樹が植えられたためとされている。
文・イラスト=古谷眞之助