がん、循環器疾患、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの生活習慣病は、医療費の約3割、死亡者数の約6割を占めている。急速に進む高齢化を背景として、その予防は健康を守るために重要だ。
生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを指しており、例えば以下のような疾患が含まれる。食習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等▽運動習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等▽喫煙:肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等▽飲酒:アルコール性肝疾患等。
9月に厚生労働省が実施する「健康増進普及月間」は、2020年度の統一標語を「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ~健康寿命の延伸」と定め、食生活改善普及運動と連携して、全国的に様々な啓発活動が展開される。この機会に、生活習慣病への認識を今一度深めるとともに、病気リスクの早期発見や治療の前段階ともいえる生活習慣の改善を心掛けたい。
予防するには?
生活習慣病の予防には、内臓脂肪の減少が重要だ。
まずは、食生活を見直すことから始めよう。エネルギー過多やコレステロールの過剰摂取、ビタミン・ミネラル不足、塩分の過剰摂取、アルコールの飲み過ぎ、偏った食事などは、内臓脂肪蓄積の原因となる。①1日3食を規則正しく食べる②腹八分目を心掛ける③夕食は就寝の2~3時間前には済ませる、といったポイントを心掛けるとよい。
次に、運動する習慣を付けよう。掃除や洗濯などの家事、徒歩での通勤・通学、階段を歩くなど簡単なものでも立派な運動だ。さらに、禁煙も重要な予防策となる。喫煙は動脈硬化や高血圧を招く恐れがあり、吸う本人はもちろん、周囲の人にも副流煙として悪影響を及ぼす。
そして、定期的な健康診断の受診により、自身の血糖値や血圧などの推移を把握し、その変化に応じて生活習慣を見直していくことが必要だ。
進む若年化
生活習慣病はかつて「成人病」と言われていたが、発症年齢が近年低下し、10~20代の若者からもその兆候が見られるように。初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づけば病気が進行していたということも。「自分は平気」などと思わずに、自分の健康は自分で守るという意識を身に付けておくことも大切だ。