1849年10月7日、ミステリー小説(推理小説)の先駆者であるアメリカの小説家、エドガー・アラン・ポーが40歳で亡くなったことに由来し、10月7日は「ミステリー記念日」と定められています。そこでサンデー山口では、「あなたの好きなミステリー作家(国内編)」のアンケート調査を実施しました。
実施期間は、9月19日から10月4日まで。回答者は46人で、男性が16人(34.8%)で女性が30人(65.2%)。年齢層は、「50~54歳」が9人(19.6%)、「40~44歳」が8人(17.4%)、「65~69歳」が7人(15.2%)、「45~49歳」と「55~59歳」がともに6人(13.0%)、「35~39歳」と「60~64歳」がともに3人(6.5%)、「20~24歳」が2人(4.3%)、「19歳以下」と「70歳以上」がともに1人(2.2%)で、「25~29歳」と「30~34歳」の回答者はゼロでした。
まず「あなたの好きな日本人ミステリー作家」(3人まで)を聞いたところ、最も多かったのは「湊かなえ」(15票、32.6%)でした。2票差で「東野圭吾」(13票、28.3%)が続き、3位は「松本清張」と「宮部みゆき」(ともに11票、23.9%)が並びました。以下、「内田康夫」(9票、19.6%)、「伊坂幸太郎」(7票、15.2%)、「赤川次郎」「西村京太郎」(ともに6票、13.0%)、「山村美紗」「横溝正史」(ともに5票、10.9%)、「江戸川乱歩」「中山七里」「森村誠一」「横山秀夫」(ともに3票、6.5%)、「桐野夏生」「島田荘司」「辻真先」(ともに2票、4.3%)と続いています。そして「阿刀田高」「綾辻行人」「乾くるみ」「今村昌弘」「河野典生」「京極夏彦」「澤村伊智」「高木彬光」「都筑道夫」「津村秀介」「原尞」「東川篤哉」「深緑野分」「山下諭一」「結城昌治」「米澤穂信」「若竹七海」に、それぞれ1票(2.2%)入りました。なお、太字の作家は、一覧に掲載のなかった「その他」の自由回答によるものです。
次に、好きな作家による「おすすめの小説」を聞いたところ、101冊もの回答が得られました。最も多かったのが「砂の器」(松本清張)の5票。次に「点と線」(同)、「ソロモンの偽証」(宮部みゆき)が4票で、「告白」(湊かなえ)、「花の鎖」(同)、「容疑者Xの献身」(東野圭吾)が3票、「Nのために」(湊かなえ)、「リバース」(同)、「流星の絆」(東野圭吾)、「レベル7」(宮部みゆき)、「後鳥羽伝説殺人事件」(内田康夫)、「汚れちまった道」(同)、「犬神家の一族」(横溝正史)が2票でした。複数人が推薦したのは以上13冊。以下の88冊は、すべて1票でした。
湊かなえ=「往復書簡」「少女」「白ゆき姫殺人事件」「母性」▽東野圭吾=「赤い指」「麒麟の翼」「宿命」「手紙」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「パラドックス13」「白夜行」「マスカレードナイト」「マスカレードホテル」「ラプラスの魔女」▽松本清張=「影の地帯」「黒革の手帖」「ゼロの焦点」「わるいやつら」▽宮部みゆき=「あんじゅう」「蒲生邸事件」「境遇」「孤宿の人」「三鬼 三島屋変調百物語四之続」「名もなき毒」「模倣犯」「楽園」「理由」▽内田康夫=「浅見光彦殺人事件」「化生の海」「天河伝説殺人事件」「萩殺人事件」「ユタが愛した探偵」▽伊坂幸太郎=「アヒルと鴨のコインロッカー」「オーデュボンの祈り」「クジラアタマの王様」「シーソーモンスター」「死神の精度」「重力ピエロ」「マリアビートル」「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングは3つ数えろ」「夜の国のクーパー」▽赤川次郎=「セーラー服と機関銃」「三毛猫ホームズの推理」▽西村京太郎=「阿蘇・長崎『ねずみ』を探せ」「寝台特急殺人事件」「生命」▽山村美紗=「赤い霊柩車」▽横溝正史=「悪魔の手毬歌」「獄門島」「憑かれた女」「花髑髏」▽江戸川乱歩=「押し絵と旅する男」「怪人二十面相」▽中山七里=「切り裂きジャックの告白」▽森村誠一=「人間の証明」「復活の条件」「名誉の条件」「雪の蛍」「誉生の証明」▽横山秀夫=「クライマーズハイ」「動機」「臨場」▽島田荘司=「異邦の騎士」「占星術殺人事件」▽辻真先=「仮題・中学殺人事件」▽阿刀田高=「ナポレオン狂」▽綾辻行人=「十角館の殺人」▽乾くるみ=「リピート」「クラリネット症候群」「イニシエーション・ラブ」▽河野典生=「探偵はいま鉄板の上」▽京極夏彦=「姑獲鳥の夏」▽澤村伊智=「ずうのめ人形」▽高木彬光=「検事霧島三郎」「捜査検事」「人蟻」▽都筑道夫=「悪意銀行」「なめくじに聞いてみろ」「三重露出」▽津村秀介=「浜名湖殺人事件」▽原尞=「私が殺した少女」▽東川篤哉=「謎解きはディナーのあとで」▽深緑野分=「戦場のコックたち」▽山下諭一=「危険とのデート」▽結城昌治=「死者におくる花束はない」▽米澤穂信=「クドリャフカの順番」▽若竹七海=「悪いうさぎ」 なお、小説名ではなく、「ガリレオシリーズ」(東野圭吾)、「浅見光彦シリーズ」(内田康夫)、「三毛猫ホームズシリーズ」「杉原爽香シリーズ」「幽霊シリーズ」(ともに赤川次郎)、「列車シリーズ」(西村京太郎)、「赤い霊柩車シリーズ」(山村美紗)、「少年探偵団シリーズ」(江戸川乱歩)、「迷犬ルパンシリーズ」(辻真先)のように、シリーズ名での回答もありました。
最後に「作家や小説に対する思いやエピソード」を聞いたところ、39人の方に回答を寄せていただきました。以下、抜粋して紹介します。
「金田一耕助シリーズは以前から好きなのですが、由利麟太郎シリーズは少し前にテレビで観て初めて知り好きになりました」(35~39歳女性)
「どの作家さん達も、ミステリーでありながら、非常に後味の良い雰囲気を醸し出してくれています。そして『アッ』『やられた!』等の最後の驚き。何ともたまりません!」(60~64歳男性)
「原尞は寡作ながら、チャンドラーの衣鉢を継ぐ、日本最高のハードボイルド作家である」(55~59歳男性)
「宮部みゆきさんの作品は、いつも感情を揺すぶられます。そして、読み終えた後が心地良いです」(50~54歳男性)
「東野圭吾さんの作品はスピード感があり、様々な疑問を最後には全て解決してくれて、読み終えた時にスッキリとした気分になります」(55~59歳女性)
「東野圭吾『「容疑者Xの献身』は初めて読んだ推理小説です。ガリレオシリーズだけでなく、新参者シリーズなど、どれも楽しく読めて、様々な視点、トリックを発見できるのが面白いです」(20~24歳男性)
「内田康夫の浅見光彦シリーズが好きです! 独身時代は友だちとおすすめしあって読んでいました」(55~59歳女性)
「内田康夫のトラベルミステリーを読みながら、舞台となった所を旅することが楽しみ。松本清張の社会派ミステリーは読み応えあり。アリバイ崩しとしての『点と線』は秀作であり、初めて手にしたミステリーとして、思い出深い。横溝正史は、おどろおどろしさに怯えながら、本格的なトリックを崩していくの面白さは多々の追随を許さない。また、どのように映画化、TVドラマ化されるのかを見ることも楽しみのひとつ」(65~69歳男性)
「赤川次郎先生の杉原爽香シリーズは1年に1冊書かれて登場人物も1年に1歳、歳を重ねていくというお話で私が主人公の杉原爽香と同じ歳なので感情移入しながら毎年楽しみに9月に買って読んでます。こんな登場人物が毎年歳を重ねる小説があるなんて素晴らしいと思います。三毛猫ホームズシリーズは心優しい刑事を悲しい別れがあった三毛猫と妹が助けて事件解決していくお話しで登場人物の恋愛感なども色々あり素晴らしいです。赤川次郎先生の他の作品もですがとにかくミステリートリックがドキドキハラハラしながら一気に読み進められます。赤川次郎先生が大好きです」(45~49歳女性)
「江戸川乱歩の少年探偵団や怪人二十面相のシリーズは小学校の図書館にあってよく読んでいた」(50~54歳男性)
「お題が『あなたの敬愛する探偵作家』だったら、間違いなく“泡坂妻夫”なのだけれども。泡坂は、当時『国産ミステリは社会派ばかりでつまらない』と中学生だった私の横っ面を張り、目を覚まさせてくれた張本人。泡坂妻夫こそが探偵作家であった。その泡坂が尊敬する“都筑道夫”センセーから、長篇を三冊選ぶ。どれもが、50年以上前に発表した作品だが、都筑の天才ぶりがよく判る出来で、そんじょそこらの現代の所謂ミステリー作家どもが束になっても敵わないのは、一読判明だろう」(55~59歳男性)
「東野圭吾さん、湊かなえさん、宮部みゆきさんの作品が好きです。元々読書が苦手でしたが、数年前から小説を読むようになり、その時の気分に合う自分が読みやすい書き出しの本を選んでいます」(45~49歳女性)
「宮部みゆきさんの作品はどれも読みやすく夢中になり、先が気になるので、夜更かしになってしまいます。湊かなえさんの作品はどんでん返しすぎて、読んでも犯人を忘れてしまうので、また新たな気持ちで読むことができます。物忘れがひどいのかと心配になるほどで、一度読んだ本のはじめの部分を読んでも誰が悪い人なのか忘れてしまってます。東川篤哉さんの作品はどれも会話が面白く勢いがあるので好きです。好きな作品を3作品にしぼるのも難しいくらい今まで読んだ本は全部おもしろかったです。コロナでステイホームでもこの3人の本があるので、ストレスなく過ごせました」(40~44歳女性)
「森村誠一を45年読み続けています。読むと物語の中に入ってしまいます。ほとんどの本を読んでいます」(65~69歳女性)
「『マリアビートル』は新幹線内という狭い空間での殺し屋の話しで、出張で新幹線や航空機を利用する機会が多かった私には衝撃のストーリーであり、話しの展開のテンポの良さに魅力され、伊坂ワールドに入り込んだきっかけとなった本でした。『往復書簡』は手紙のやり取りだけの進行でしたが、ラストで感動の余り、涙した事を覚えています。『ソロモンの偽証』は長い長い作品で、中学生とかけ離れた年齢ながら、作品についつい引き込まれて、次の展開が気になり、短期間の内に、読みきった記憶が甦ります」(65~69歳男性)
「障害を持つ長女を育てる時、唯一の楽しみは推理小説でした。小説のおかげで大変な時期を乗り越えられました。私の元気の元です」(60~64歳女性)
「内田康夫はなんといっても浅見光彦シリーズが好きです。島田荘司は御手洗シリーズにはまりました」(45~49歳男性)
「私が高校生の時乾くるみさんの本にはまりました。友人に紹介すると貸してほしいといわれクラスで乾くるみブームが訪れました。乾さんの小説を途中まで読み、みんなで昼休みに謎解きを議論していました。今は、コロナ禍でその友人とも会えませんが小説を読むことで青春の思い出が蘇ります」(20~24歳女性)
「高木彬光氏といえば、神津恭介ですが、私としては、検事霧島三郎シリーズ(第一作は『検事霧島三郎』)、検事近松茂道シリーズ(第一作は『捜査検事』)、弁護士百谷泉一郎シリーズ(第一作は『人蟻』)を多数発表されるほど、法律系にかなり関心のある作家と思われます。そのため、これらのシリーズを、法律系ミステリーに非常に関心のある私にとって、興味深く読んでいます」(40~44歳男性)
「赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズが好きで、子供の頃お小遣いを貯めて新作を買っていた」(40~44歳女性)
「湊かなえさんの作品を初めて読んだのが『母性』という作品でした。母性という概念を覆すような内容でそれが事件を通じて浮かび上がってくるという話で後味はあまり良くありませんでしたがとても考えさせられる作品でした」(65~69歳女性)
「横溝正史氏には因習によるおどろおどろしい事件のスリルと金田一耕助というキャラクターへの熱狂と市川崑監督という素晴らしい監督との出会いを頂きました。綾辻行人氏にはシリーズ物を追いかけるミーハー心と新本格派ミステリーへの誘いを頂き、京極夏彦氏には圧倒的な知性や知識に酔いしれる幸福を頂きました」(40~44歳女性)
「赤川次郎、内田康夫、山村美紗のシリーズが大好きです。小説とテレビドラマで、二重に楽しんでいます」(40~44歳女性)
「大学入学時に古書店で購入して、すぐさま読了。わたしのミステリー観をひっくり返してくれた『危険とのデート』がなんといってもベストワンだ!」(50~54歳女性)
「赤川次郎の三毛猫シリーズは学生時代ワクワクして読み進めていました。東野圭吾の『容疑者Xの献身』はアリバイを作るためのトリックが思いもよらぬやり方で、わかった後で泣けました。松本清張は今読んでも古さを感じさせません」(55~59歳女性)
「津村秀介さんの鉄道ミステリーが好きでほぼ読んだと思います。東京へ新幹線で日帰りし、本を1冊読んでいました」(65~69歳男性)
「定年後(3年前)、東京より山口の田舎へ帰る時、品川駅の本屋さんで『楽園』を買い、気に入りました」(65~69歳男性)
「ドラマ化や映画化も多数の伊坂幸太郎さん、大好きです♪ スマホや携帯電話がほとんど出てこないイメージなんですが古くはないんです。デビュー作の『オーデュボンの祈り』をすっかり伊坂幸太郎にはまった頃に読んだのですが、すごく面白かったです! ネタばれになるので書けませんが、案山子が出てくるファンタジー要素のあるミステリーです! 私の娘が10代の頃から伊坂幸太郎さんのファンでだったので私もはまりました。10~50代までファン層も幅広く楽しめます♪」(45~49歳女性)
「ミステリー小説に関わらず長編小説を初めて読んだのが、宮部みゆきさんの『レベル7』でした。まだ、学生で長編小説を読んだことがなかった私が面白くて夢中になって読みました。そこから、宮部さんに限らず沢山の本を読むようになり、最初が『レベル7』で良かったなと思ってます」(40~44歳女性)
「東野圭吾さんのどんでん返し的な話しの展開が好きです。映画化もされていて、映像でも楽しめます」(50~54歳女性)
「西村京太郎の列車シリーズの再放送は、随分前のでも見ている。自分も旅に出た気分になるので。列車旅(特に観光列車)を楽しみたいが、今年はコロナで巣ごもり」(70歳以上女性)
「中山七里さんの作品は最後にどんでん返しがあって、面白い。初めて読んだ中山七里さんの作品が『切り裂きジャックの告白』だったのですが、どんでん返しのうえに登場人物が素敵で、一気にファンになりました。ミステリーや警察ものは読まず嫌いだったのですが、抵抗が無くなりました」(35~39歳女性)
「若竹七海『悪いうさぎ』の女探偵葉村晶が実にカッコイイ。絶世の美女ってわけでもなく身体能力がすごいわけでもない普通の女性なのですが、経験から身につけた鋭い観察眼としつこさで事件の真相を突き止めます」(50~54歳女性)
「子供の頃からドラマ 浅見光彦シリーズが好きで、 作者を知らずに たまたま家にあって読んだ本が内田康夫さんでした(題名は覚えていません)。 出会いって面白いですね」(45~49歳女性)
「『名もなき毒』は、人間の裏側にある毒を誇張した作品で、後のイヤミス※の萌芽のひとつだとひそかに思っている」(55~59歳女性)※「イヤミス」とは、読んだ後に後味が悪く「イヤな気分になる」ミステリー小説のことを指します。