板堂峠は萩往還の最高地点で、標高537メートルである。整備されて少々風情を欠いているが、その名前は、一の坂銀山で働く人たちが安全を祈願するため峠に板葺きの御堂を建てたことに由来すると言われている。
イラストの奥を左手に進めば、約一時間半で新日本百名山の一つ、東鳳翩山(734メートル)に至る。山頂では360度の展望が楽しめ、遥か津和野の青野山、萩、関門大橋、国東半島、周南方面を遠望できる。
七卿落ちの一人、三条実美は二卿と従者を従えて元治元年(1864)9月21日に吉敷からこの山に登って、「鳳翩の 山をいかにと人問わば かくと応えん 言の葉もかな」とその絶景を詠ったと伝わる。
文・イラスト=古谷眞之助