秋が深まると山際の斜面にはツワブキやヨメナなどのキク科の花が目立ちます。晴れて暖かい日中にはたくさんの虫たちが花を訪れています。近づいてよく見ると多くはハエ目の昆虫で、ハナアブ類が目立ちます。ハエ目は翅が1対の2枚で、双翅目として2枚の翅の昆虫として分類されます。ハナアブ類の多くはハチによく似ていますが、ハチに比べ複眼が大きく、触角が短いので識別できます。ハチの翅は4枚ですが重なって2枚に見えるので注意が必要です。
成虫として花を訪れるハナアブたちですが、驚くのは幼虫時代です。アブラムシを食べるもの、スズメバチやアリの巣内で成長するもの、写真のキゴシハナアブなどのナミハナアブの仲間の幼虫のように有機物のたまった汚水で成長するものもいます。幼虫の形からオナガウジ(尾長うじ)と呼ばれ、名前の由来である尾にみえる呼吸管を水面に出して泳いでいます。
山口県立山口博物館 動物担当 田中 浩